ネタより命です。
とっとと日本に帰りたいです。
一目散に。
そんな思いから、できるだけ近道しようと山の中をショートカットします。
それが失敗でした。
舗装道路がじゃり道になって、そのうち岩石の凸凹。ついには泥だらけ。ときどき崖っぷち。時速10kmが精一杯。
こんな「死のロード」がこのあと90kmも続くみたいで、ってことは9時間もかかるの?
距離は短いけど時間がかかるという近道。
しかも雨が降ってきました。
雨量次第で遭難しかねず、泣く泣く引き返すことにしました。
久しぶりにいいネタになりそうなルートではあったんですが、ネタより命です。
日が暮れる前にたどり着いた、名も知れぬ小さな集落へ。
家の壁にトタン板を使った貧相な家とか、Chin号!では登れない急な坂道とか、敵意を隠さない住民たちの視線。店先の巨大なスイカ。
怪しいものじゃ、ございませんって。単なる旅の者ですじゃ。
奥の細道を曲がりくねったどん詰まりの民家にお世話になることにしました。
一泊のつもりだったのに……